ATACでは月に2回研究会を実施しており、会員はジャンルを限定せず、順番に日頃の考えをプレゼンしています。
そのプレゼンから会員投票で興味ある内容(エッセンスのみ)を毎月、掲載しています。
1.はじめに
今年になって「核融合」についての話を新聞記事等の中でたびたび目にする様になりました。1980年頃、学生時代に受けた物理化学の講義の中で、将来石油が枯渇する事によるエネルギー問題の解決策として、この核融合エネルギーが有望であることを学びました。「太陽で起こっていることを地球上で起こすことでエネルギーを作り出すんだよ。だけど、その時に発生する高温に耐えるだけの材料が、現時点では見つかっていないのだよ」との事でした。
そもそもこの核融合の発想は、1940年頃のアインシュタイン博士、湯川博士の時代にさかのぼります。以来80年近い歳月が流れましたが、未だに人類が利用できる技術にまでは、至っていません。アニメやフィクションの世界では、ゴジラや鉄腕アトムやガンダムなどは、そろってこの核融合のエネルギーを使って動くものになっています。
核融合技術の現状を調べてみました。
2.核融合の原理について
水素の同位体の重水素(Deuterium)と三重水素(Tritium)が衝突・融合して新しい重いヘリウム原子(と中性子)になる反応が核融合(フュージョン)です。反応の前後の質量差⊿mが、アインシュタインの有名な式E=⊿mC2に従い熱エネルギーに変わります。ここでCは、光の速度なので発生する熱エネルギーは、非常に大きなものになります。
例えば、1gの燃料を核融合させると、前後で、0.003755gの質量が減少してエネルギーに変わります。その大きさは、石油7.93tを燃焼させたときに発生する熱量に相当します。
3.熱の閉じ込め方式
40年前には、不可能であった、熱の閉じ込め方式として磁場の中に閉じ込める方式と慣性力を利用する閉じ込め方式の2つがあり、後者は阪大で、前者は、量子科学技術研究開発機構他で多数開発が進められています。
4.ITER計画
「小型の太陽を地上に作る」といった壮大なアイデアの実現を加速するために、世界の頭脳を南フランスのプロバンスという町に集めてITER(イーター)計画が進められています。世界7極35か国(日本、中国、EU、インド、韓国、ロシア、アメリカ等)が、共同で核融合技術の実現に向けて計画を推進しています。日本は、この中で、技術的に中心的な役割を果たしているとの事です。
5.まとめ
脱炭素の切り札として、核融合技術は、脚光を浴びています。核融合反応で発生するのは、ヘリウムと中性子のみであり、温室効果ガスは発生しません。太陽光、風力といった環境条件に左右されずにエネルギーを生み出します。このため将来的には、石炭、石油、天然ガス等の火力発電や原子力発電の役割を代替する事ができるようになると考えられています。人類の夢に向かって日々この核融合技術の開発に取り組まれている多くの研究者の方々に敬意を表します。
(出典:国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構、誰でもわかる核融合の仕組みより)
【皆さんは、南シナ海と聞いて何を想像されますか。】
先ず真っ先に、中国と東南アジア諸国との間で領有権紛争が起きているところと想像されると思います。
では、南シナ海とはどんなところか、図1を参考にしてみる。
南シナ海とは、図1のように太平洋の西部で、中国、台湾、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、シンガポール、タイ、カンボジア、ベトナムに囲まれた海域の名称です。
これに、それぞれの国が領海(20カイリ=22.2km)とEEZの排他的経済水域(200カイリ=約370km)を設定しています。
中国は、図2のような領海線9段線を主張しています。
これには、かっては、中国の領土であったと主張しています。古くから、海のシルクロードであったとも主張しています。
国内の小学生用の地図でも、領土用地図として利用されています。
また、中国大陸から外洋に出ようとすると図3のように中国大
陸から太平洋側を見ると東シナ海の上方に日本が覆いかぶさっ
て自由に太平洋に出られません。南シナ海側からが、インド洋
、太平洋に比較的に出やすいところです。EEZの排他的経済
水域においては図4のように、各国の主張が交錯した状況と
なっております。ASEAN加盟国10か国のうち8か国が南シナ海
諸島、南沙諸島と四つの諸島が点在しており、その諸島の島々
を、ベトナム、中国、マレーシア、フィリピン、台湾がそれぞ
れ統治しています。
【南シナ海は世界にとって最も重要な海域の一つです】
領有権紛争だけでなく、何がそんなに重要な海域なのかと思われるでしょう。
その重要な海域として見られているもので、主なものは、データは少し古いですが概要を説明しますと
1. 南シナ海の貨物通過量は世界貨物通過量の1/3
・南シナ海を通過している貨物量は世界の1/3です。
・貿易額では世界では16.5兆ドル(2,475兆円/150円換算)
対し南シナ海では5.3兆ドル(795兆円/150円換算)とな
ています。(2016年度日経データ採用)
・2021年度で見ると、約7.2兆ドル(1,080兆円/150円換算)の
貿易量です。日本の国家予算(2021年度106.6兆円)
10.1倍あります。
・日本では、貿易量の99%以上が船を利用して貿易を行っ
います。日本の船も大半がこの海域を通過しています。
・平成27年実績では国民一人当たり約13トンの物資が輸送
され、このうち約9.8トンが南シナ海を通過しています。
2. 船舶の通行にとっては重要な海の航路(シーレーン)で
・中近東、アフリカから日本、韓国、上海、台湾、香港へ
かう船舶は図5のように①マラッカ海峡⇒南シナ海の南
諸島を通過しています。
・ちなみに2013年の米エネルギー局資料では、マラッカ海峡
を通過した原油量では世界第2位の約1,520万バレル/日で
す。
・これ以外に、②スンダ海峡⇒南シナ海を通るシーレーン
③ロンボク海峡⇒南シナ海を通るシーレーンがあります。
・この中で、①のシーレーンが経済的効率が最も良く
南シナ海を通過しています。
・①②③のシーレーンどれも南シナ海を通ります。それほど
南シナ海は重要な海域となっています。
重要なものとなっています。
・原油の輸入にとっても各国にとって重要な航路
(シーレーン)となっています。
シーレーンは、最も重要な航路です。
・一日当たり約1,500万バレルの原油・天然ガスが、日本、
韓国、中国へ輸入されています。このうち約21%の
320万バレルが日本に輸入されています。これは、日本
の年間輸入量12.3億バレルの95%を占めております。
(2016年度日経データ採用)
3. 地下資源も豊富です
・紛争が起きている関係で十分な調査が行われておおりませ
んが石油埋蔵量が120億バレル以上と言われている。日本
の輸入量の約10年分以上(2016年日経データ採用)。
・天然ガス埋蔵量が5.3兆立方メートル以上といわれている
・調査が進めば、さらに増えると見込まれております。
4. 漁業資源も豊富です。
・南シナ海周辺国の漁獲高は、約1,400万トン/年で世界の
漁獲高約1.8億トンの約8%を占めています。(2016年日経データ採用)
・このうち、中国約40%、ベトナム約16%、台湾約11%、
タイ約6%といわれています。(2016年日経データ採用)
5. 南シナ海沿岸国の人口も世界人口(8,091,735千人)の25%
を占めています。
【日本の領海とEEZ排他的経済水域】
図7のように、日本は四方が海に囲まれた海洋国家です。 私たちの国土、領海、排他的経済水域がどのようなものなのか、そこで行われる経済活動は南シナ海の例にあるように多くのものがあることを、改めて認識する必要があります。 主なもので見ると、
②国土面積は世界で60番目の大きさです。面積:38 万km2 ③EEZ排他的経済水域面積は国土面積の11.76倍あります。
【日本にとって(私たちにとって)南シナ海は他人事では
ありません】
・上記図8で示しましたように、海洋国家である日本はEEZ排他的経済水域を含めた面積は世界でアメリカ、オーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダに次いで6番目に大きな面積を占めております。
・この水域では、鉱物や漁業資源を管轄することが認められています。
・南シナ海での各国による紛争は領有権を含めて、管轄が行えるかどうかの重要な問題を抱えております。
・南シナ海で力による紛争が起こると、航路(シーレーン)を船舶が自由に通過できなくなります。
・日本の船舶(貨物)はこのシーレーンを通過して、大半の貿易が行われています。中でも原油の通過は90%以上です。
・原油の備蓄は幾らか在りますが、紛争が長引くと経済活動はもとより、私たちの日常生活が立ち行かなくなります。
・私たちにとって他人事ではなくなります。
・日頃から、世界のニュースを知るとともに、それが日本とどのような関係になるのかを、日本のEEZ排他的経済水域を含めて、日頃より関心を持つことが大事であると思います。
私は、生まれてこの方京都市以外の土地では暮らしたことが、ほとんどありません。
だから何処の町に住めばよいか? 町に何を望むか?など、と真剣に悩んだことがないのです。
しかし最近、気候変動、地震・豪雨・台風などの災害や人々の生き方・考え方が変化しつつあります。その中で、自分に合った住む町のことを考え直す良い機会なのかも知れません。それぞれの町にはそれぞれの歴史や、これまで歩んだ軌跡があり、また今後の発展や成長の方向を見る機会なのかもしれません。
各都市の外観
2020年工業統計表 地域別統計表データ 令和3(2021)年8月
各市の産業政策
各市の町づくり
尼崎市松本市長は、本市を地域産業の発展と住環境整備の両輪で成長させるとしている。
八尾市大松市長は、2025年大阪・関西万博で本市は出展し、市の経済発展と活性化につなげるとする。
吹田市後藤市長は、施政方針で、吹田市総合防災センター(DRC)を通じて、市民の命を守るための危機管理体制の強化と市民が安心して暮らせるまちづくりを目指すとしています。
さて、皆さんは生活の中心を 仕事に置くか? 子育てですか? 遊びや趣味などに置くか? 2ndハウスを持ち、都市と田舎の風景を楽しむか? どうしますか? 何を選びますか?